西洋文化系

ヨーロッパ・地中海文化コース

ヨーロッパ・地中海文化コース概要

現在のEUで東周辺の歴史の断層には、ケルトとスラブ、ゲルマンとラテン文化が根付いています。そこには光と閤、生と死が妖しく交錯します。本コースで深遠な神学体系や観念哲学の迷路をさまようもよし。考古学、文献学、ドイツ文学にハマるも、オペラに酔いしれるもOKです。ラテン語やドイツ語・イタリア語も徹底指導します。お楽しみに。

ヨーロッパ・地中海文化コースの教員紹介

系・コース専攻部門の講義紹介

ヨーロッパ・地中海文化史

本講義では、アンダルスおよびキリスト教スペインにおける宗教的マイノリティについて中心的に取り扱います。
ヨーロッパ史的文脈では、宗教的マイノリティという言葉からは多くの場合ユダヤ教徒がに想起され、一方で改宗という言葉からはキリスト教内部のカトリックとプロテスタントの間の「改宗」や、多神教やユダヤ教といった他信仰からキリスト教への改宗が連想されます。いずれの場合もキリスト教が「支配者」の信仰として優位かつ多数派であることを念頭に置いた「イメージ」に端を発していると言えるでしょう。
しかし、イスラームが支配していたイベリア半島、すなわちアンダルスではキリスト教徒はユダヤ教徒とともにズィンミーと呼ばれる宗教的マイノリティを構成していましたし、キリスト教徒が他宗教へ、特にイスラームへ改宗するという現象は、中近世のスペイン・ポルトガルをはじめとして、地中海地域では広く観察された事象でした。
以上を踏まえて、本講義ではイスラーム世界とキリスト教世界の境域に位置したイベリア半島において、政治的な変動と改宗という歴史的事象とがいかに連動し、複雑に進展していったのかを総合的に学ぶことを目的とします。

ヨーロッパ文学論

ヨーロッパ文学論AとBとで通年計画とし、前期は中世、近世から18世紀ドイツ近代(啓蒙主義、ゲーテ・シラーの古典主義、ドイツ・ロマン主義)を、後期には19世紀後半におけるビーダーマイヤー期、写実主義から世紀転換期(ヴァイマールとナチス)、さらには東西冷戦期から現代に至る代表的作家とその作品を扱う。
 まずは各時代ごとの思想潮流(当時の政治・社会的、文化的背景やメディア技術の状況)を解説し、そうした時代思潮が反映された文学作品や思想家・哲学者の言葉を、具体的に紹介しながら授業を進める。それらの鑑賞・解釈を通じて、ドイツ語圏の文学史・文化史に対する理解を深めていく。
 以下の授業計画において講義で扱う予定の作家・作品名を参考までに例示しているが、講義の進み具合や受講者の反応を見ながら内容を適宜修正する場合がある。

ドイツ文化論

前期は主に今日のドイツ連邦共和国の文化を取り扱う。ドイツは地方色豊かな文化を有する地方分権国家である。その文化を理解するためには、その古代から現代に至る歴史や、言語や、宗教や、習俗や、彼らの自意識などを多面的に理解し、知識を深めなければならない。それらのテーマについて講義を進めていく。

地中海都市文化論

この授業では、下記の授業計画にしたがいながら、イタリア半島を中心とした地中海世界の都市文化について、考古学的・地誌学的資料や美術建築史的画像資料などを交えながら、古代末期から中世期の文化とその変遷について理解を深める。
 とりわけ、この古代末期から中世期は、西ローマ帝国の滅亡とキリスト教の拡大普及の時期と重なる。紀元1世紀から最初の数世紀の間、ローマ帝国による断続的な迫害を受けていたキリスト教は、313年、コンスタンティヌス帝とリキニウス帝によるミラノ勅令によって「教会の平和」を獲得し、以後、ヨーロッパ中に、そして世界中にその宗教勢力を拡大していくことになる。元来、多様な宗教を信仰した古代ローマ帝国支配下の多神教的異教・地中海世界が、一神教的キリスト教・地中海世界へと変容して行くこの時期は、西洋史上極めて大きな歴史的変化の時代であった。この授業では、古代起源の異教都市がキリスト教化されていく変容のプロセスを追いながら、古代末期から中世期のイタリア半島の都市文化について学びを進める。

地中海宗教文化論

キリスト教は,ローマ帝政期に辺境の地ガリラヤから出た一人のユダヤ人,ナザレのイエスの活動に端を発します。その後,数世紀を経て,コンスタンティヌス帝の一連の宗教政策を境に,帝国内で一気に教勢拡大へと向かいました。そのプロセスは,宗教と国家,あるいは宗教と文化の関係史ととらえることもできます。この授業では,こうした視点に立って,ローマ帝国におけるキリスト教の発祥,成立,発展の歴史を辿りつつ,現代まで続く地中海の宗教文化がどのように生み出されていったかを考えてみたいと思います。
なお,遠隔授業を行う場合は,主に moodle を用いたオンデマンド型コースとします。