複合文化系

表象文化コース

表象文化コース概要

本コースでは、絵画、建築、写真、映画、音楽、舞踏など、人間の五感によって表象された対象すべてを「文化」として取り扱い、思想的・政治的・経済的な側面にも着目しながら、言語を使って論理的に分析・解釈していきます。あらゆる文化部門が相互に関係し合う現代社会において、芸術や表象文化を包括的に考察する力を養います。

表象文化コースの教員紹介

系・コース専攻部門の講義紹介

表象文化史

古今東西、人々は様々なモノを収集し、それを私的・公的に展示してきた。近世以降、王侯貴族によるコレクションは、自身の権力を誇示し栄華を誇る場として機能してきたが、近代国家の成立や市民社会の台頭とともにその役割は美術館・博物館へと受け継がれたことはよく知られている。他方で、近代においてミュージアム以外もまた展示を考える際に不可欠な役割を担っていた。万国博覧会やデパート、更に娯楽的・学問的・宗教的な様々な展示機会(見世物小屋、諸民族の野外展示、宣教活動の成果を伝える展示等)が存在し、これらの場所ではモノだけでなく人や文化が展示され、展示主体が属する社会のイデオロギーや思想の伝播に寄与していた。この授業では、近世から現代にかけての様々なモノと展示との歴史を振り返りつつ、展示物に向けられる「まなざし」のあり方やその諸様態、そこから浮かび上がる表象と思想の歴史を考えていきたい。

表象文化論

絵画芸術が大きく発展した中世・ルネサンス期のイタリアにおいて、絵とは見るだけのものではなく、手で触れる、口づけをする、携帯するなど、より親密な接近や直接的な触れ合いが想定されていた。さらに、もちろんヴァーチャルな次元においてではあるが、画中に描かれた人物や道具立てが、絵の内部に足を踏み入れるよう、鑑賞者をいざなってもいた。本講義では、13世紀末から14世紀初頭にかけて制作された、当時のイタリア絵画の代表的作品(3枚のテンペラ板絵と3点のフレスコ壁画)を、従来とは異なる視点から分析することで、絵に「触れる」、あるいは絵に「入る」という、われわれの想定する鑑賞とは異なる当時の絵画へのアクセス方法の諸相について考察する。

表象メディア論

ミュージックヴィデオ史の形をとり、以下(1)~(2)を中心とする関連文献の読解と、代表的な作品の分析を、並行して行います。
(1)Tom Carson, “music video” Encyclopeia Britanica Online.
(2)Alf Bjornberg, “video” The New Grove Dictionary of Opera, Oxford University Press, 2007.
この講義は「実務経験のある教員による授業科目」です。音楽科教員(中・高)、ならびに、クラシック領域における音楽評論家・音楽マネージャーとして実務経験を積んだ担当者が、社会的・一般的な「音楽語り」の現場で培った知見に基づいて教授します。

美学・芸術学

この講義では、西洋の古典的な美学と芸術論を、受講者の問題意識を喚起するかたちで紹介していきます。古代ギリシア以来、美への問いと芸術についての思考は、分かちがたく結びついています。それゆえここでは、美学的な思索の歩みと芸術論を交差させるかたちで、西洋の思考の歩みを、今からおよそ2500年前からたどっていきます。説明にはスライドなどが用いられます。

芸術文化史

本講義では近代フランスの芸術文化、そのなかでもとくにキリスト教をテーマとした作品を中心に扱います。近代化はヨーロッパ社会に大きな変化をもたらし、フランスにおけるカトリック教会の状況も激変しました。そのなかで新しい芸術の潮流が生まれ、教会の装飾に反映されています。また、同時期にフランス人宣教師たちがキリスト教布教のために来日し、彼らがフランスから持ち込んだ芸術作品等は長崎を中心とした教会関係施設に残されています。本講義ではこうした作品を紹介し、フランスを中心とする近代芸術の歴史をふまえて、世界の近代化の流れを日本との関係も含めてみていきます。
本講義では、近代芸術の基礎知識を得ること、そして芸術作品の背景にある歴史について具体的事例をもとに学ぶことで、芸術作品を解釈する力を養うことを目的とします。