研究旅行奨励制度実施報告
2023年 報告一覧
北海道のアイヌ民族について ―「ゴールデンカムイ」をはじめとするメディアの影響
今回の研究旅行の目的は、野田サトル氏の「ゴールデンカムイ」や川越宗一郎氏の小説「熱源」をはじめとした作品が大きく話題になったことから、近年様々な角度から注目を集めている北海道のアイヌ民族の歴史や現在まで続いている文化についての調査を行うことである。
今回、主に調査を行ったのは、現地の博物館や記念館である。アイヌ民族は文字を持たない民族であるため、文化や生活がアイヌの手で記されている文献がほとんどない。そのため、北海道にあるアイヌ文化を主軸とした展示のある博物館や現在も残っているアイヌ民族の集落(コタン)を訪れ、アイヌが使用していた道具や民族衣装の実物やアイヌの伝統芸能など文献では知りえない文化を実際に目にすることでよりアイヌ文化に対する理解を深めた。
「クィア」を考える ―現代フランスにおける大衆への表象について―
今⽇のフランスでジェンダーにまつわる事象がどのように表象されているかについて、市⺠の視点から調査する。
現代フランスのメディアで同性愛やジェンダーレスを前⾯に押し出した表象物(例えばジェンダーレスな⾐装やメイクなどで知られるモデルSofia Steinberg、同性愛を前⾯に押し出したモデルPierre Amaury Crespeau、ファッションブランドDIOR の広告など)をよく⾒かけるが、先⽇ミュシャ展で商品的・性的対象としての⼥性イメージを強く押し出した作品を閲覧し、両者のギャップに驚いた。フランスは⽇本に⽐べて「クィアなもの」に寛容であるように感じられるが、実際のフランスの現場におけるジェンダーの表象についてその特徴を調査する。