教員紹介

韓 景旭

ゼミのテーマ

東アジアの社会と文化

ここでいう「東アジア」とは、主として中国・日本・韓国・朝鮮・モンゴルを指すものとする。地理的にも歴史的にも、また文化的にも極めて密接な関係にあるこれらの国々の文化を比較し、相似点と相異点を理解することにより、異文化との接し方や自文化を見直す知性を身につけることを目的とする。

ゼミの紹介

諸君は隣国の中国や韓国・朝鮮について、何をどれほど知っているだろうか。たとえば中国の場合、地域によって、その気候風土や生活習慣があまりにも違うため、一部だけを見て「中国」を語ることはまったくの無謀といえよう。私の専門は文化人類学で、主な調査地域は中国東北部である。この地域には蒙古族や満族、回族、朝鮮族など、様々な異なる民族が入り交じって生活しているが、私が主に調査・研究しているのはそのうちの朝鮮族社会である。朝鮮族は基本的に韓国人・朝鮮人と同じ出自をもっているため、言語や食習慣などの面で多くの共通点が認められている。しかし、朝鮮族は中国の国籍をもち、生活圏も中国内にあるため、「中国人的」な思考様式と生活習慣も多分にもっている。こうした朝鮮族を知ることによって、異民族や異文化理解、ナショナリズム、エスニシティなどの言葉をより具体的に理解してもらえるのではないかと考えている。

履修希望科目

中国語及び中国・韓国関係の科目の履修が望ましい。

これまでの卒論テーマ

「中華思想の起源と確立」「中国の客家」「雲南少数民族の研究」「中国新世代映画の研究」「中国の教育事情」「中国の交通事情」「香港返還と中国」「喫茶文化の発展を探る」「漢方薬の研究」「韓国・朝鮮の飲食文化」「真実の風水」「東洋占術について」「チャイニーズ・ポップス論」など。

自己紹介

中国東北部生まれ。社会学博士。1989年4月より福岡市民となる。好きな言葉:「人生に試練はあっても失敗はない」「成功とは生涯を自分流に生きぬくこと」。

読書案内

姜尚中・森巣博
『ナショナリズムの克服』(集英社新書、2002)
ナショナリズムの問題点を理解するための啓蒙的な一冊。対談のかたちをとっており、両氏の掛け合い的な応酬は至って面白い!

古田博司
『朝鮮民族を読み解く-北と南に共通するもの』( ちくま新書、1995)
朝鮮・韓国ともに「近代化」に向けてじつは共通の苦闘を演じている。宗族を中核にした自分たち「ウリ」とそこから排除された他人たち「ナム」の間の深淵は埋められるのか。かたくなな「儒」の世界と大らかな「野」の世界に接点はあるのか。「恨(ハン)」はいかにして解けるのか。朝鮮民族の根底にある思考・行動様式を自らの体験に重ねあわせながら率直な目で描きだしている。

森巣博
『無境界家族(ファミリー)』(集英社、2000)
胸がスカッとする面白い本だ。日本という(想像の)境界の内側にいて『日本人論』『日本文化論』『日本文明論』を唱えるナショナリストたちを手厳しく批判している。ところが、その人たちは梅棹忠夫だったり梅原猛だったりするので、ここまで言ってもいいの?という気さえしてくる。と、書くとなんだか難しい内容の本かと思うが、決してそんなことはない。著者は現在オーストラリアに住む国際ばくち打ち。妻は著名な大学教授で、講演で世界中を飛び回っている。そして息子はといえば15歳で大学に入学を許された天才児。こんな家族がいたのかとびっくりしてしまう。

韓景旭
『ある北朝鮮兵士の告白』(新潮新書 2006)
元北朝鮮兵士が筆者に語ってくれた真実の話。10年間にわたる軍隊での生活が、そして北朝鮮人の思考様式が間近に見えてきます。

おすすめサイト

中国まるごと百科事典
http://www.allchinainfo.com/

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